ゆっくりと顎を掴んでるのとは反対の手を動かして、ショウは煙草を口元からはずした。
瞬間、いつも以上に低く、迫力のある声がその口から滑り出す。
「オマエ、よく考えたらさんざん俺たちのことかき回してくれたよなぁ?あぁ?アンタのお陰でライは歌えなくなるし、生番組がどんだけ大事なのか分かってんのかよ?!」
もはや東條の顔には表情がない。
コクコクとおもちゃの人形みたいに首を縦に振ってるだけ。
「タキだって、アンタのお陰で悩む必要のないことで頭いっぱいにさせられたりさ、ああ~!なんか思い出したらめちゃめちゃ腹立ってきた。なぁ、一発殴らせてくんない?」
無表情だったショウの冷たい顔が、ニッ、と唇を歪めた。
うわ、こりゃだめだ、東條ご愁傷様。
俺とライ、顔を見合わせて合掌。
「ちょ、ちょっとなにそこ手ぇ合わせてんのさ!?」
慌てたヤツの声に、俺は両手をパーにして首を振る。お手上げ。
その瞬間、東條が泣きそうな顔になったのが分かった。