「……ずりぃ」

「は?」

「ずるい、って言ったんだよ!!ショウ!その台詞、俺も言いたかったのに!!」

ガバッと顔を上げ、ショウに迫るライ。

「言いたかったって……どの辺を?」

ショウが近すぎるその顔から必死で顔をそむけながら問い返せば、全部だよ!と叫ぶ。

すっげぇ悔しそうなんだけど……。でも。

「てことはライもインディーズに戻る事はオッケーなんだ?」

俺が割り込むようにして、ライの横顔を覗けば。

「あ?んなもんどうだっていいんだってば!俺は今のショウの台詞でビシッとキメたかったんだよっ!」

「どうでもって、オマエ……」

「だってそうだろ?メジャーだろうがインディーズだろうが、俺の声がありゃどこでだって勝負できるだろうが!」

威嚇する猫の様なライの様子に、俺は内心呟いていた。

……いや、その台詞のが何倍もイイんじゃん?!

と、思ったのもつかの間。

「ライ、それすげぇカッコいい台詞なんだけど、一つ訂正。オマエの声と、俺たちの音があればどこでだって最高の音楽ができる。だろ?」

うん。やっぱショウのが一枚上手。お見事。