雑誌を買って自動ドアを出たところで上着のポケットでケータイが震えた。
東條の番号だ。
「もしも……!?」
通話ボタンを押した途端、耳にデカい笑い声が飛び込んできた。
『タキくん!キミめちゃくちゃ面白いよ!最高にウケるっ、アッハハハハ……』
「…………」
うぜぇ。マジうぜぇ。
「切るぞてめぇ」
片手に抱えてる雑誌、返品しにいきたくなったっつーの!!
『ああぁ!ごめんごめん、切らないで!ちゃんと話すからっ』
まだ笑いを含んだ声のまま、ヤツは慌てた声を出す。
『電話くれたってことはやる気になった、ってことかな?』
顔を見なくたってわかる。絶対に意地の悪い笑みを浮かべてるだろう声音に、俺は素直に話す気になれなくて。
「さ~あどうかな?ていうかアンタは俺たちが大好きなわけだ?雑誌読んだぜ」
『あ!あれ読んでくれたんだ?ははっ、俺の愛がいっぱいだったでしょ?』
「あぁ。気持ち悪いくらいに」
『ひっどいなぁ、その言い方』
俺と東條はお互いに小さく笑い出してしまっていた。