数回のコールの後、繋がった相手に話す隙も与えず口を開いていた。

「てっめぇ、このヤロー!なんだよあの記事!なんなんだよ一体、ふざ……あ、留守電だ……」

無機質な応答メッセージが耳に届いて、ハッとした。同時に急激に恥ずかしくなる。

「うっわ、マジ恥ずっ!!留守なら留守って先に言えよ!」

思わず電話に向かって愚痴を言った瞬間。この言葉も録音されてるんだと気付いてますますヘコんだ。

ピーーー、という時間切れの音が響くのを耳にして、俺は道のど真ん中でガックリと肩を落としてしまった。

俺……馬鹿?

「なにやってんの、俺?」

思わず口元から笑いが漏れた。やがてそれが我慢できなくなって、腹を抱えてしゃがみこんでしまった。

周りを歩くヤツらの怪訝な視線なんて気にする余裕もなく。

「ほんっと、最っ高に、最低なヤツ」