「ざけんなっ!!こんな甘ったるい歌詞で歌えるかよ!!」
派手な音を立てて立ち上がったのはライだった。
眉間に深い皺を刻んで不機嫌な表情。
あぁ、また始まったよ。
そんな空気がスタジオの中に流れた。
「じゃあオマエが書くか?歌詞。自分も俺らも納得できる歌詞、書けるのか?」
「……っ!」
冷たい声音で空気をさらに凍り付かせたのは、俺の隣で足組んでマルボロメンソールを口にくわえたショウ。
チラリと横顔を見やれば切れ長の目をライに向けて、強い視線で見つめていた。
言われた本人、ライは憎々しげな眼差しをショウに向け、手にしていたスコアをテーブルに叩きつけ、一言言い放つ。
「煙草買ってくる!」
「俺のやるけど?」
「てめぇと同じもんなんか吸いたくねぇんだよ!!」
ギッ、と再びショウを睨みつけ、ライはスタジオから出て行った。
重い扉を勢い良く閉めて。