俺はライに向けた視線をそのままショウへスライドさせた。

……ま、アイツは外見じゃわかんねぇ、か。

相変わらず無表情で作業を続けるショウに、再度溜め息が漏れた。

なんだか自分だけそわそわしてるみたいで、ちょっとだけヘコんだ。

正直、この会場に彩都が現れて、平常心でライブができるのかすっげぇ不安だ。
だって……この会場は、彩都が怪我をする前にやった最後のハコだったから。4人での、最後のライブをした場所。

「……煙草吸ってくるわ」

それだけ近くにいたスタッフに伝えて、俺はステージを降りた。
そのままライブハウスの裏口へ向かう。

確かここのハコの裏口は、ギャーギャー煩い女たちは近付けないはず。

ガチャ。

重い扉を開ければ、涼しい風が髪を撫でた。
おかげで少しだけ気分が軽くなった気がして、またまた息が漏れた。