突然だった。
一人でも欠けたら許せない。
そう思っていたファンの思いを裏切ったかのように、彼は去って行った。
残された彼らは平然と音を私たちに送り出した。
嬉しいはずだった。
メンバーが一人欠けても、音楽を続け、バンドを続けていてくれたことが。
でも、違った。
彼らの新しい音は、私たちの求めているものではなくなっていた。
気の抜けたソーダのように。
色褪せたたカラー写真のように。
中身が空っぽの風船のように。
形だけはそのままの。抜け殻のような音楽がただ、惰性のように流されているだけだった。
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