「それは今気にするとこじゃねぇ、俺らが考えなきゃなんねぇのは、」

「ライーーーッ!!」

「は………?」

バタンと楽屋のドアが勢い良く開けられ、飛び込んできたのは……そう、期待を裏切らない男。

「ライ、大丈夫ー?風邪?!ボーカルは喉が命なんだから気をつけろよ~!も~テレビ観ててビックリしちゃったよ!ショウが歌ってんだもん」

目を丸くするライの両肩をガクガク揺すってる。

「な、ちょっ……てめ、……なせよ、は……はな、っせ!!」

ライに思い切り突き飛ばされ、派手に床に転がったのはもちろん。

「海斗……オマエなんで……」

俺は有り得ないって顔のまま床で倒れてる海斗を見る。
すると、そのままの体勢でヤツは口を開いた。

視線は俺じゃなくてライに向けたまま。

「ね、彩都に会ってみる?」




「え………?」