東條が立ち去った後の俺たちは最悪だった。
顔面蒼白になって力なく椅子に座ったままのライを、無理矢理自分たちの楽屋まで引きずるように連れて行った後、ショウは黙ったまま楽屋を出て行ってしまった。
俺と櫻井はライを放っておけなくて、ずっと楽屋に居ることしかできなかった。
『なんで嘘ついたんだよ?』
ライはしばらくすると、不意に口を開いた。
俺は一瞬だけ躊躇したけれど、ライの色をなくした顔を真正面から見つめながら口を開いた。
『あの時は……俺も話を聞いたばっかで、すげぇ混乱してたんだ……自分でも整理できてないのにお前らに上手く話せるか…自信がなかった』
『だから誤魔化した?』
ひどく冷めた声でライが問う。俺を見る瞳には何も映ってないかのようだ。
『ごめん』
『……悪いけど、さ。出てって……タキが悪いんじゃないってのは、分かってる。けど、ちょっとだけ。………』
顔見たくない。
掠れるようなライの声が、ぐさり、俺の心臓に刺さった。