「東條さん」

不意にショウがその後ろ姿に声を掛けた。

「なにかな?」

にこやかに振り返った東條の、予想外に鋭い視線と、ショウの剣呑な視線が絡み合った。

一瞬、その視線の間に火花が散ったような幻覚を見た。

「何が目的か知りませんが、俺たちはそう簡単には壊れませんよ」

ショウが低く囁くように告げると、東條は得たり、という顔で言葉を返してきた。

「ははっ、そう簡単に壊れてもらったら僕だって困るよ。これでも僕は君たちの音楽、好きなんだ」

「見え透いた嘘はいりません」

「嘘じゃないんだけどねぇ、ま、いいや」

そう言って、東條はドアを開けた。
そして、ドアを閉めるかと思えば、思い出したようにパチンと手を叩いた。

……なんだ?

なに?と問いかけるより早く、ヤツの口が動いていた。

「あ、そういえばライさん、さっきのショウさんの話に補足しておきたいことが」

え?という顔でライが東條に目を向けた。その血の気の引いた顔にヤツは言った。