「楽しかったんだろ?だから俺たちに言えなかった。…だろ?」
「………」
ったく、なんでコイツはすぐ人の心を読むんだ?!
「お前は自分で思ってるより、考えてることがすぐ顔に出るんだよ。自覚しろ」
そう言ってからショウは店員を呼びつけ、焼酎を注文する。
そのショウの横顔はあまりに無表情で、感情が読み取れない。
「あ、俺も同じの。………ていうかオマエ、やっぱ性格わりぃ」
「今頃気づいた?」
さらりと受け流し、目にかかる前髪を鬱陶しそうにかきあげながら、ショウは二本目の煙草に手を伸ばす。
その間、しばしの沈黙が俺たちの間に流れた。
お待たせしました、という店員の声にハッとして顔を上げれば、目の前には焼酎のグラス。
「まぁ、路上ライブ云々はいいとして。まだ隠してることがあるんだろ?」
再び目の前の瞳と視線を合わせると、さっきよりも強い光の浮かぶそれが俺を睨むように見つめていた。