夢を見た。
カタカタと音がしている。そうだ私はパソコンを打っているんだ。
誰かが私を呼んでいる?
何?何で読んでるの?
ケイコ?キョウコ?んん・・・リョウコ?
また別の声も聞こえる。小さな子供の声
今度は分かる。ママって読んでる。
私は「はーい!」と返事した。

自分の声で目が覚めた。
天井を見ると自分の部屋だと分かった。
自分で選んだレースのカーテン。ベッドの脇には誕生日にパパとママからもらった犬の大きなぬいぐるみ。

あーさっきのは夢だったんだ・・・あの事故以来よく見る夢。

しばらくすると司君と司君のお兄さんの夏樹君が部屋へ入ってきた。
「調子はどうだ?」
夏樹君はそういうとベッドに腰掛けた。
夏樹君は近くの大学病院でお医者さんをしているんだ。
「んー。だいぶよくなった。寝たらすっきりしたよ。」
「おじさんに連絡しておいたから。早く帰って来るって言ってから、今日はゆっくり寝ること。俺家に戻るけど、司がいるから何かあれば言うんだよ。分かった?」
私はうん、と頷いた。
本当はあの時感じた「違和感」を話してしまいたかったけど、多分真剣に聞いてもらえないような気がしたから言わなかった。
自分でさえも信じられないんだから。