「ねぇ和樹。彼女は?」


「別れた」


「何で!?」


「好きな人いるから」



詩央里が好きだから



何て言えない



「うっそ誰!?」


「詩央里が教えたら教える」



「………やだ」




俺だってやだ



「もう着くぜ」



悠に言われ


電車から降りた



周りには

俺と同じ制服を着た人たちが
たくさんいる



「じゃあね和樹!」



詩央里は可愛いらしく
手を振り


元気に走って行った



「詩央里ちゃん可愛いなー
 俺告ろうかな」


「アホ」



独り言を言う悠を無視し
歩き出した



“俺告ろうかな”



その言葉がやけに染み付いた