何が起きたか分からないまま、地面に倒れこんだ理緒は小さく声を漏らし、上半身を起こした。
そして、体を起こした理緒の目に写ったのは―…
「ぐあぁああぁあぁぁあぁっ!!」
傷だらけの十夜が左腕を押さえながら、前のめりになり、声を上げる姿。
十夜の左腕には、黒い蛇が手首から肘にまで巻き付いていた。
「十夜…っ!!」
理緒は“言霊”から解放されたばかりで、上手く動かない体でよろめきつつも十夜に近づき、その肩に触れる。
その瞬間、十夜の体が大きく傾き…膝をついた。
…十夜の左腕には、先程まで巻き付いていた筈の黒い蛇の姿は……なかった。