白月村の村長一族の人間は十五歳になると、自分の手で大鷹を卵から育てるのが習わしとなっている。



二年前に、理緒も大鷹を卵から育てた。

その大鷹が理緒の肩に乗る、吹雪である。


酷く冷たい吹雪の日に、その寒さにも負けず元気に産まれてきた…それが名前の由来。




「吹雪、これを白月村まで届けて来てっ!!」



理緒がそう言って、足に手紙をくくり着けると吹雪は一度だけ鳴き、翼を広げ飛んで行った。




理緒は救援が来るまでの間、少年の側に駆け寄り応急手当を始めた。


自分が着ていた衣を短刀で裂き、包帯代わりにする。




応急手当の最中、理緒は少年の近くに落ちていた物に気がついた。



刀。


白月村の人間の何人が持っているのを見た事が、理緒は、その刀は普通の刀と何かが違う気がした。




しかし今はそんな事に気をかけている場合ではない、と少年の手当てに集中した。