崖の側にうつ伏せに倒れている少年が、いた。


意識を失っているのか、倒れている少年はぴくりとも動かない。



地面には赤黒い血が広がり、腕と足は本来なら有り得ない方向に曲がっている。



理緒は腰に下げてある小袋の中から、紙と木炭を取りだして「崖の下に負傷者あり。救援を求める」と書き記した。



そして、首に下げていた鳥笛を強く吹く。


森に鳥笛特有の甲高い音が響き渡る。


その鳥笛の甲高い音に反応し、一羽の大鷹(おおたか)が理緒の元に飛んで来た。


大鷹はそのまま、理緒の肩の上に下りた。