外で理緒の大鷹……吹雪に触れ、はしゃぐ暁を見つめ澪が口を開いた。
『暁にとって、理緒は初めて出来た姉の様な存在なのだろう。……無論、お前と日向も兄の様な存在なんだろうな』
「……兄弟、か」
十夜が澪の言葉を繰り返した。
「どうした?十夜」
使い終わった調理器具を洗いながら、日向が十夜に声をかける。
十夜は小さく唸る。
「俺が兄ちゃんになるなんて、変な感じだな……って思ってよ」
「そうか?」
澪は皿をちゃぶ台に並べ、言った。
『十夜。お前の言い方では、まるで自分に“兄”がいた……と言っている様だぞ』
「へ?」
十夜が目を点にすると、澪が口を開く。
『さっきお前は「俺が兄ちゃんになるなんて変な感じだ」と言った。そんな事、普通は自分に兄がいないと言わないと思うがな』
「…………。」
思わず十夜は黙り込んでしまった。
さっき、何故自分があんな事を言ったのか……よく分からないから。