十夜の呟きが聞こえた日向は、小さく笑った。
「理緒からすれば、暁は弟みたいなもんだろう」
「弟ねぇ……」
納得がいかない…という感じで十夜が返事をすれば、澪が口を挟んだ。
『そんなに気になるか?十夜』
「気になるっつーか……あ゙ーっ!よく分かんねぇ」
頭をガシガシと掻き、十夜が声を張る。
そんな十夜を見て、日向と澪は顔を見合わせて笑った。
「……なんで笑ってんだよ」
ちゃぶ台に肘をつき、ふてくされた顔で十夜が言った。
澪が朝飯を皿に盛り付けながら、口を開く。
『悩め、悩め。若造は悩むのも仕事だ』
「この年寄りめぇ…っ」
意味が分からないと眉をしかめながら、十夜が呟やいた。
日向が朝飯をちゃぶ台に並べる。
「まぁ、そんなに気になるんなら本人に聞いてみたらどうだ?」
「…んなの、聞けるかよ」
溜め息混じりに、十夜がぽつりと呟く。