朝、目を開けた十夜は……すぐに目を点にする事となった。
理緒が昨日、夕飯を食べる時に使ったちゃぶ台の上で何かを書いているのだ。
日向と澪は二人で朝飯の準備をし、暁は理緒の書く字を黙ってじーっと見つめている。
首を傾げつつ十夜が上半身を起こすと、それに気づいた暁が声を張る。
「十夜にーちゃんっ、おはよー!!」
「……ん、おはよう暁」
寝惚け眼を擦りながら、十夜は立ち上がり理緒の元にのろのろと歩いた。
「理緒ぉー…何、書いてんだぁ…?」
「おじいちゃんに手紙、書いてるの。村や町に着いたら、その度に書く様に言われてたんだけど、忘れてたから……」
隣に座り込んだ十夜の顔も見ず、理緒は言った。
寝癖の出来た髪を掻きながら、十夜が口を開く。
「大爺に……?へぇ、初耳だな」
「当たり前でしょ。言ってなかったんだから」
手紙を書く手を止めないまま、理緒は答える。