暁から渡された川魚を、包丁で綺麗に捌きながら、澪が頷く。


『あぁ、そうだな。……私がこうしていられるのも、暁のおかげなのだろう。私があの子を支えているつもりだったが……支えられていたのは、私の方かもしれんな』
「そういうもんだろ?」


頭の後ろで腕を組み、十夜が口を開く。


「親子ってのは相手を支えて、相手に支えられてんだ。俺はきっとそう思―……っ、いってえぇ!!」


十夜の言葉は鈍い音と、十夜自身の悲痛な声で掻き消された。

十夜の頭に拳を振り下ろした張本人……理緒が、キッパリと言いのける。


「さっきのに対しての、お返しよ」


殴られた部分を擦りながら、十夜が弱々しく呟く。


「つぅ……、さっき暁に分かったって、言ってたじゃねぇかぁ…」
「それはそれ、これはこれよ」
「この…っ、嘘つきめぇ……」
「あんたの方が嘘つきでしょ?暁にあんな嘘をついて」
「う……っ」