十夜も、視線を焚き火に移した。


炎。

十夜にとって、それは暖をとったり、明かりになったりする“もの”


だが、理緒にとってそれは大切な両親を理緒から奪い去り、心の傷を作り出した“象徴”




「……さっきは、理緒の事情も知らないのに怒鳴ったりして悪かった」


日向はそう言うと、十夜に頭を下げた。

十夜が苦笑いして、頬を掻く。


「いや、俺も日向の立場だったらあんな風になるって」
「殴り飛ばしそうだな、十夜だったら」


日向が小さく笑って言うと、十夜は少し黙って…


「……かもな」


…と呟き、大きな欠伸をした。