ガチャッ

と音がして、目の前には神楽がいた。


神楽はイスに座っていて、その奥には50代ぐらいのおじさんとおばさんがいた。

神楽は後ろを振り向いた状態であたしを見ていた。

後ろからひょっこり出てきた肇にあたしは驚いて、そんな所を見られて神楽に笑われた。



「河本、ありがとう。今日はもぅいいよ。俺から言っとくから」

「はい。ありがとうどざいます」


そぅ言って河本は深くお辞儀をしてドアの向うからどこかに行った。







「始めまして。神崎 悠といいます。」

「ぁ、黒崎 肇です…」


「始めまして、嶋岡 優(スグル)と言います。こっちは妻の初子です」

ニッコリ自己紹介をする嶋岡夫婦を見てあたしの緊張は少し和らいだ。



「国明くんがね、今緊急の仕事で四国にいるからね。それまでここで待ってるんだけど榛遣くんだけじゃぁ榛遣くんが気疲れしちゃうからね」

「…はぁ……」


「神崎さんに黒崎くん。だからキミたちを呼んでもらったんだ。それに、榛遣くんの友達を見ていたかったしね」

「………。」


神楽は何も言わなかった。

あたしも、神楽のその行動はけっこういいものだ。

そぅじゃないと、昨日のあたしの行動は、無駄になってしまうから。

最初で最後の、完璧人間の神楽があたしにしたお願いだから。

だから聞いたんだよ。

まぁ他にも理由はあるけど、とにかく神楽の頼みごとを聞きたかったんだよ。


「………。」

「………。」

「………。」

あたしも肇も、神楽も何も言わないとても気まずい雰囲気が続いた。