「時雨は事実を言っても
軽蔑しない?
離れて行かない?」

下を向きながら

精一杯言った

泣いてるところを

見られたくないから

「しないよ?
俺は紫の友達だからさ
紫だってさ俺の事実
を言ったって
軽蔑しなかっただろ?
俺も同じでもさ
今の俺じゃ軽蔑する
力ないと思う」

そうか――。

時雨はこんなにも

優しい人なのか

今改めて言いたい…

「ありがとう」って

「アタシね…
色盲なの色盲の病気
はね色がよく見えなく
なったり変色したりする
症状が出るの
アタシの場合は
進行が早いんだって
やっぱりさぁ
認めるのって辛いね」

誰かに聞いて

もらっても

辛さを分かって

もらっても

何も埋まらない

「だから?俺に
何して欲しいの?
事実を話されたって
俺には何もしてやれない
でもさ今の紫じゃ
ダメだと思う
俺は紫にこれだけ
言ってあげる」

時雨は優しそうな顔で

言う。

「何?」

「自分を変えられるのは
『誰か』じゃない
自分しかいない
それだけ」

それを言ったら

走りながら帰って

行った

「変えられるのは
自分か―…」

きっと

私は時雨に

この言葉をもらってから

認めることが

できたんだよ

時雨…本当に

『ありがとう』