牛車をつけてある所へ着き、姫の手を取って乗せる。


「私はここまでです。」

そう言うと、姫は私の手をぎゅっと握った。


「東宮様はお優しい方です。

何の心配も要りません。

それでも何か辛い事があったら、ここへ里帰りして来なさい。

でも、軽々しい行動は慎しむのですよ。

あくまで穏やかに、波風立てず…」

つい心配で長々しい説教をしてしまうのを、姫は頷きながら聞いていた。