佐和さんの気持ちが嬉しい。

佐和さんはいつもあたたかい。


私をいつも素直にさせてくれる。


「たくさん、ごめんなさいなの。」


涙を拭いながら佐和さんに向き合うと彼は優しい眼差しを返してくれる。

「ゆっくりでいいから全部聞かせてくれるか?」

「一つになれませんでした。」


「心は?」


「??」


「体は確かに一つになれなかったけど、心は一つになれた。
俺はそれで満足だけど?」


「熱出したり、迷惑かけちゃいました。」


「苦しそうな紫衣は見たくないけど、看病出来るのは俺だけだろう?
そんな特権誰にも譲る気ないけど?」


「それに、夢…。」


「……………」



黙り込む佐和さんに、やっぱり不愉快な気持ちにさせてしまったんだと申し訳ない気持ちになった。

良君とは私はあまり接していない。

彼とちゃんと向き合ったのは別れを告げた日だけ。

紫衣の大好きだった人。
私の中には存在しない人。


水瓶で覗いて紫衣と一緒に見ただけの人。


悪く言えば紫衣と一緒にいたから見ただけの人。

だから、どうして夢を見たのか自分でもわからないよ。