嫌よ、逢いたくない。


私は紫衣じゃない。


本当の紫衣じゃないの。




「イヤ―――――…。」





ぎゅっと抱きしめられて重い瞼を持ち上げると私を心配そうに見つめる佐和さん。


「目が覚めた?
ひどくうなされてたよ。」


夢?


「真衣ちゃんと良君は?」


佐和さんに尋ねると彼の表情が変わった。


「夢を見たんだろう。」


だけど、すぐにいつもの佐和さんに戻って言葉を返してくれる。



「夢?」


「そう、夢。」


佐和さんの言葉に安堵の息を漏らす。


だけど、ホッとしたのもつかの間で、


「で、夢で良君に逢ったんだ?」


ニコリと微笑みを浮かべる佐和さんの瞳が笑ってないよっ!