コクコクと頷く私の背中を佐和さんの大きな掌が撫でてくれる。
いつもなら心地良いと思う、その行為が今は何故だかピリピリと弱い電流が流されているかのように違和感を感じた。
それに、普段なら心が落ち着くはずなのに逆にザワザワと心が騒がしくなる。
「なんだか体が変です。」
瞳は潤んで視界はぼやけている。
それにすごく熱い。
佐和さんが触れる度体が熱をもつ。
もっともっとって、
触れたいと思うより触れられたい。
ドンドン気持ちが膨らんで胸がぎゅうぎゅう締め付けられた。
息をするのも苦しくて佐和さんをじっと見つめると、熱い視線にくらくらと眩暈を起こした。
ごにょごにょ講座、失敗しちゃったけど今度こそって思ってたのに私にはやっぱり出来そうにない。
本当に意識が今にも飛びそうで、ここに自分がいると留まらせるだけで精一杯なんだ。
焦点が合わない視界に佐和さんの唇が映った。
その瞬間、くるりと体が反転してベッドのマットを背中に感じた。
目の前には私を見下ろす佐和さん。
落ちてくるのは口づけの雨。
額に瞼、目尻、頬、そして耳朶に吸い付くような感覚を感じた後、耳に佐和さんの吐息がかかった。
「紫衣、可愛いよ。」
自分の体なのにまるで力が入らず雲の上を漂うような、ふわふわと不安定な感覚に襲われた。
だけど、不思議なくらいそれを怖いとは思わなかったんだ。