不安になったのも佐和さんにはお見通しで、ニッコリと笑って、


「わかりやすくて助かるよ。」


私の髪を撫でつけながら優しい言葉を返してくれる。


私には紅茶を佐和さんには珈琲を入れて二人で一緒にテーブルについた。

たくさん買ってきてくれたけどサンドイッチを一つ食べるだけでお腹はすぐに一杯になった。


「ごめんなさい。」


申し訳なくて謝る私に、

「嶋田が熊みたいにたべるから大丈夫だよ。」


って言ってくれる佐和さん。


たくさん言葉を並べなくても私の思うことを全部わかってくれる佐和さんにやっぱり胸がぎゅっと痛んだ。


「それより、紫衣…」


「………?」


急にごにょごにょと佐和さんの言葉の歯切れが悪くなった。


どうしたのかな?って佐和さんに視線を向けると頬が赤い?


「佐和さん?」


不思議に思って佐和さんに声を掛けると、彼は何も言わずに一枚のメモをテーブルの上に置いて私の前に滑らせた。


裏返しに置かれたメモは私には意味がわからなくて首を傾げると、


「読んでないの?」


佐和さんの戸惑いを含む声が聞こえてきた。


頭の中でメモについて考えを巡らせる私に


「風呂のマットの横に落ちてた。」


だけど読んでないならいいんだってメモに手を伸ばす佐和さん。


洗面所とメモ。


この二つが頭の中で重なった。


芽衣ちゃんの持ってきてくれた着替えの紙袋から出てきた紙。


佐和さんが帰ってきたから落としたのを拾わずに忘れてたんだ!