「では比叡山ドライブに出発!!」



陽気な嶋田さんの声で車は発進した。


芽衣ちゃんは車に酔うという理由でちゃっかり嶋田さんの隣の助手席をキープ。



私は石野さんと一緒に後部座席に座ることになった。



知らない人の車に乗ったら危ないんですよ--!!


心の中で悪態をつきながらも私は芽衣ちゃんに逆らうことなく従った。



それはやっぱり芽衣ちゃんの嬉しそうな顔を見ていると私も幸せな気分になるからかもしれない。



「琵琶湖って綺麗ですね。」



隣の石野さんに話しかけてみた。



「あぁ。」


素っ気無い返事...。



「琵琶湖ってどうして、そう呼ばれるようになったか知っていますか?」



どうでもいい会話かもしれない。


だけど話題の少ない私にはこれが精一杯。



「ビワの形に似ているからだろう?」



「はあ...。」



やっぱり苦手だ!!


会話が全てプツリプツリと切れてしまう。








「紫衣ちゃん、石野は歴史にとっても詳しいんだ。だから知らないことのほうが少ないよ。」





「そうなんだ。紫衣も歴史大好きだから良かったね。」





嶋田さんの言葉に返したのは芽衣ちゃん。



何が良かったんだか...。




息が詰まりそうなのに!!