「君、うちの大学で迷子になってなかった?」


「はい、覚えてくれてたんですか?あの時はお世話になりました。」




嬉しそうな芽衣ちゃんの顔を見ていると、この先一緒に行動してもいいかなって思えた私は彼らに席に座るように進めた。


芽衣ちゃんと知り合いの彼の名は嶋田清哉さん。


彼のお友達の名前は石野佐和さん。



嶋田さんが芽衣ちゃんの隣に座って石野さんは私の隣に座った。


石野さんが隣の席に座った時心臓がキュッと縮むような感じがしたんだ。



ドキドキとうるさい位に動く心臓に私はなんだか苦しさを覚えた。



「紫衣、なんだか顔が赤いけど大丈夫?」



様子のおかしい私を気にして芽衣ちゃんが声を掛けてくれた。



「うん、大丈夫...なんだか緊張してるのかな?ドキドキしてるだけ。」



私の言葉に嶋田さんが大げさな位に頭を抱えながら「俺のカッコよさにそんなにドキドキしないで。」なんてふざけて言葉を返してくれたから、なんだか一気にテーブルを囲む私たちの雰囲気が和んだ。



「私は崎山紫衣です。」


「私は清川芽衣です。二人とも高校を卒業したばかりでここへは卒業旅行のために来たんです。」



自己紹介を始めた私に芽衣ちゃんも一緒に話してくれた。


口数の少ない私をフォローするように話してくれる芽衣ちゃん。


いつも芽衣ちゃんには助けてもらっている。



「そうなんだ。じゃあ4月からはうちの大学に?」


「はい。二人とも無事合格しました。」



会話が弾む芽衣ちゃんと嶋田さん。


私と石野さんは全く何も話せていない。



話すというよりもなんだか彼が側にいるだけで心がざわついて仕方なかった。