気がつけば、紙にはイメージ通りのものが生まれていた。
その事実にとても満足する。
帰ったら色塗ろう。
何で塗ろうか…。
コピック?色鉛筆?どれがこの絵に合っているだろうか。
紙を太陽に透かしたりして、思案していると、
「朝原くん、みーっけ」
楽しそうな女子の声が後ろから聞こえた。
振り向くと、ニコニコと笑っている女子。
確か…隣のクラスの桐島さんだ。
「そんな恐そうな顔しないでよー。
あたし朝原くんに会いにきたんだから」
『…わざわざ授業中に?』
「うん。朝原くん機嫌が悪くなると、授業中でもサボるって有名だし」
…なんだそれ。
そんな噂があるのか、と驚く僕に、
桐島さんは、さらに言葉を続ける。
「だから朝原くんがサボる時に会いに行こうって決めてたの」
『…なんで場所まで』
「美術室から出て来るところ見ちゃって。
目でストーカーしてた」
…そうですか。
大層立派なことで。
僕は荷物を全て持って立ち上がる。