「俺さ、あたり前だと思ってたんだ。」

じゅんちゃんの低い声が、静かに耳に伝わってくる。


「・・・なにが?」


「笑顔ってさ、あたり前にあるものだって思ってたんだよ。今まで、17年間さ。」


「でも、違ったんだよな。」


あたしはなんて答えればいいのか分からず、じゅんちゃんの言葉を聞くことしかできなかった。


「ほら、俺ってさ、自分で言うのもあれだけどさ、結構モテるじゃん?調子乗ってたんだよな、きっと。」


「中学のときは全然だったのにね。」

そう言った後、はっとしてじゅんちゃんのほうを見た。彼はいつの間にかこっちを向いていて、耳を真っ赤にしながら

「・・・うっせ。」

と笑った。