幸穂は今にも飛び降りようとしているところだった。


「幸穂何してるんだよ。そんなことして先生が喜ぶとでも思ってるのかよ。」
「私今から先生に会いに行くの…」
「何言ってるんだよ。死のうなんて考えるなよ。
先生が見たら悲しむぞ。」
「さようなら和也…」「待てよ…」
「離して…私先生に会いたいの…邪魔しないで…」


幸穂は必死に和也の手を振り払おうとする。


「嫌…離して…」
「嫌離さない。」
「私先生がいないと生きていけない…
もう生きるのが辛いの…死ぬの…」
「先生は幸穂の死を望んでなんかいない。幸せになれって先生言ってたじゃねぇかよ。裏切るつもりかよ。」
「…死んだら先生に会える。だから死ぬの。」
「辛いのはわかる。
だからって死ぬなよ。死んだって先生には会えない。」
「……嫌…死ぬの…離して…」