「あ、ここだね。」
「あー、俺ら此処に3年間通うんかー。」
「そだね。楽しみだね。」
「おう。あ、あれ西中の奴!、ごめんみー先行ってて?
俺ちょっと絡んでくるし!」
そう、笑いながら言い終えた彼の背中は、
もう走り去っていた。
「たっくんってば…」
あたしは、ふっ、と曖昧に笑った後、
居るはずも無い知り合いを探してきょろきょろと辺りを見回していた。
「未来?」
どこか後ろから呼ばれた気がして振り返ると、
「まみちゃん!」
「あーやっぱ未来だー。全然変わってないね、久し振り。」
「まみちゃんこそすぐわかったよー。3年ぶり…くらい?」
「うん。あたしが小6の卒業間際に転校しちゃってからだからね。
本当、久し振り。未来に会えて嬉しいな。」
「そっか。もうそんなになるんだあ。まみちゃんも此処受けてたんだね!
会えて嬉しいなー。」
やっと出会えた知り合いに少し胸をときめかせながら
笑顔でまみちゃんと話し続けていた。
「てか本当久し振りだよね!あの時めっちゃ仲良しだったよねー。」
さっきから何度目になるかもわからないほど連呼した台詞を
再び話し出すまみちゃん。
ふ、と不意に辺りを見回すとさっきとくらべて人の数が比べ物にならないほど減っていて、
不安になったあたしは校舎の壁に掛かっていた新しめの時計を見上げると、
「げ、ちょっとまみちゃん!もう集合時間じゃない?チャイムなっちゃうよー!」
まみちゃんの制服の裾を軽く摘みながら
焦って報告する。
「えぇ?もー久し振りすぎて夢中になりすぎちゃったねー。」
何て笑いながら、
あたし達は走って校舎内に向かった。
「ね、未来。」
「ん?」
不意にまみちゃんが走りながら話し掛けてきた。
「また今度前みたいに遊ぼうよ。ほら、久し振りすぎて語りたいじゃん。」
「そだね。遊ぼ遊ぼっ。」
そう、あたしが返事を返した時、
丁度チャイムが鳴り始め、
あたし達は喋るのを止めて遅刻しないために校舎内へ急いだ。