寒いのを我慢したら、いつか笑いかけてくれそうな気がして、ずっと待っていた。
いつも無表情で、冷めていて、『俺なんか』が口癖で。


言葉では人との距離を取っているけど、ちゃんと歩く歩幅は合わせてくれる。

自虐的で不器用でぶっきらぼうだけど、人には優しい。

雪みたいに白い。温かい、雪みたいな人。


あんな人に笑い掛けて貰えたなら、抱き締めて貰えたならどんなに幸せなんだろう、っていつも思う。



この気持ちが伝わっていなくても、一緒にいたい。隣にいたい。

ずっと、ずっと。




始さん───






「こんなとこで野垂れ死ぬのだけは勘弁してよね」


…あれ?

始さんの声がするのも、私の想いが強すぎて聞こえる幻聴なのかな。

そう思うと、このがむしゃらで、執拗な一途さが可笑しくて笑えた。