「では、始さん。また会いましょう!」
マンションの俺の部屋の前。あんなに鬱陶しいぐらいピッタリくっついて来る癖に、家には絶対に入って来ない。
変なとこで真面目。
「へへへ」
「……」
笑っているけれど、相変わらず赤い顔をしてフラフラしている彼女。
自分の体調管理ぐらい気を付けたらどうなの?
「…あんた、顔赤いけど」
そう言っても、「始さんに見詰められて恥ずかしくて~」とか何とか言って誤魔化す彼女。
嘘はたくさん吐く癖に、嘘を吐くのが下手だなんて、とてつもなく要領が悪い。馬鹿だ。
「中、入れば?」
「いえっ、本当に大丈夫ですから!始さんに気を使って頂くなんて恐縮です!」
良く言うよ。これだけしつこく付き纏っておいて。