私は速足で駅のホームへと向かった


今日はある人物と会う約束をしているからだ




待ち合わせが駅のホームのベンチなので間違える事は無い




ホームに着き辺りを見渡すと直ぐにその人物が目に止まった



「大樹!!!」


笑顔で駆け寄る


『走らなくても良かったのに(笑)』



この人は澤村大樹(サワムラタイキ)

高校時代からの知人だ



「今日はどうしたの?」

『こんな所じゃなんだからさ、あっちに着いたら話すよ』



大樹はクスクスと笑いながら電車に乗り込んだ



続いて私も乗る




ガタンガタンと電車が揺れる


私はまた昔の記憶に浸って居た



『紅??』


はっとして大樹を見ると私の顔を見てため息をついた


「また蓮の事考えてたでしょ?」

悲しそうに微笑む大樹に私は

「ごめん……」

『良いって。蓮の事好きでも良いから付き合ってって言ったのは俺だし』




そう、大樹は私の彼氏




蓮の事が好きでも良いから!と半ば強引に告白され私も渋々OKした



今は蓮を忘れなければいけないという思いから大樹との付き合いも真剣に考えている




実際大樹の事は嫌いでは無い



好きと言えないのはたぶんまだ蓮を引きずってるから……




そんなうちに電車は目的地へと着いた