それから、誠くんはアタシに授業中も
休み時間も話かけてきた。
もちろんアタシだけじゃないけどね。
他の女子にもたくさん絡んでいってたし。

正直、最初はうざかった。
でも、そんな日々が続いていって、
誠くんと話すのが楽しくなっていった。
学校に行くのがすっごく楽しみになっていった。
この頃、アタシはまだ自分が誠くんに恋に落ちたのを気付かなかった。

気づいたのは・・・。
雪の降っていた…あの日。
放課後、部活終わって教室に向かっていた。
教室に近づいていくと、誠くんが中に居るのが分かった。
もう少し近づくと、1人の女子も居るのが分かった。
よく見ると、隣のクラスの相川みどり(あいかわみどり)だった。
何してるんだろ・・・。
アタシは見えないように壁に隠れて話を聞いていた。

「好きだ。付き合って。」
そう言ったのは誠くんだった。
えっ・・・。
アタシの心にすごく突き刺さった。
「・・・うん。」
「よっしゃあー!!」
誠くんの喜び様は今までに見たことのないような、
すっごい笑顔で…。
嬉しいんだって思った。
アタシはその声を聞いて涙がぽろって出て、
止まらなくなって・・・。
その場を離れた。
走って走って、着いたのは体育館裏だった。

泣いて・・・泣いて・・・
ほんとにすっごく泣いた。
涙は溢れて・・・止まらなかった。
アタシ…誠くんが好きだ。
この時、ようやく分かった。

遅すぎた。