結花の志望学部は、隣県の国立大学、経済学部。
ちなみに、俺も、そこ志望。
結花は、超難関を狙えると教師達が噂していたし、まさか、自分と同じ大学の、しかも同じく経済学部を志望しているなんて、夢にも思ってなかったから、
めちゃくちゃ驚いたし、めちゃくちゃ嬉しかった。
で。
単純な俺に、再び火が付いたのは言うまでもない。
希望が見えた気がして、一層勉強に時間を費やした。
はっきり言ってチャラ男だった俺が、絵に描いたようなガリ勉に変身してしまったのだ。
周辺は、もちろん驚いた。
自分でも、悲しくなるくらいに…。
親は、驚きすぎて俺のこと腫れ物に触るように扱うし、
友達は、隙をついて悪戯してくるし、
喜んだのは、教師ぐらい。
でも、その甲斐あってか、俺は見事に結花との大学生活を手に入れた。
そして、皮肉にも、一番の理解者だった、ななせに、間もなくして別れを告げた。
おめでとう、と言うななせに、素直にありがとうを返せなかった。
先が見えていながら、俺を応援してくれたななせに、
俺は、謝ることしか出来なかった。
涙を流しながら、最後に、ありがとうと溢した、ななせ。
言葉に出来なかったけど、俺からの“ありがとう”ななせは受け止めてくれた様だった。
あの時、俺は、幸せだった。
そして、今も。
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