「はぁ~……」

京は一人屋上にたたずんでいる。加奈は涙を流しながら屋上を出ていき、それから数分が経っていた。
授業はすでに始まっているため学校内はとても静かである。

「……これでよかったのかな……」

京が加奈と別れた理由――"京"という存在を不必要とさせるためである。

自分が死ぬことで加奈は悲しみに明け暮れ、もしかしたら自分を追ってくるかもしれない。
そうなるならば、いっそのこと無理矢理別れを告げ、"京"という存在が「自分には必要ないんだ」と思わせよう……。そう考えたのだ。


バンッ


京がそんなことを考えていると、いきなり屋上の扉が勢いよく開く。

京が後ろを向くとそこには……

「……美波……」