「京……」

「何だ?」

「私って頼りない?」

加奈は真剣な目で京に問いかける。

「いや……頼りないわけじゃ……」

「じゃあどうして何も相談してくれないのよ!」

「……」

加奈の言葉に京は言葉をなくして加奈から目をそらす。

頼りないわけじゃ……別に加奈が頼りないわけじゃない。ただこの問題は、加奈が頼りになりすぎるから言えないんだ……

京の頭の中では複雑な思いが渦を巻いている。

「ねぇ京。私に話してよ」

俺が少し風邪をひいただけで徹夜で看病をして、自分の体を壊してしまうほど人の心配をする加奈にこのことを言ったらどうなるんだろうか……。
サッカーを辞めることは俺にとって確かに致命的なことだ。
だがこのことで……いや、こんなことだけで加奈を不安にさせていたらダメだ。

「……分かった。言うよ……」

京の言葉に加奈は何も言わずに頷く。

「実は俺さ……サッカーが嫌いになったんだ」