アパートの前に着いたのは、午前11時を回った頃だった。
一週間前まで、毎日暮らしたアパート。
でも、今は少し、玄関のドアを開けるのを躊躇っている俺がいる。
…行くぞ。
3…
2…
1……
心の中でカウントダウンし、ゼロになった瞬間、俺は玄関の扉を勢いよく開けた。
「ただいまー!」
明るく叫んだ声に、美空が2階からパタパタと音をたてて降りてくる。
「…ぁ…お…おかえり、海都!」
美空は笑顔で迎えてくれたけど、俺を直視しない目には、どこかぎこちなさが感じられた。
「ちょっと早いけど、食べる?」
美空は俺を、2階の美空の部屋に誘導した。
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