――明くる日。
俺が目を覚ましたのは、初日の出だったはずの太陽が、大分高い位置に上ってしまってからだった。
時計を見ると、午前10時15分。
戸籍謄本とにらめっこをしながら夜更かししてしまったせいで、元日早々寝正月となってしまった。
俺はスウェットを脱ぎ捨て急いで私服に着替え、住まわせてもらっている店長の家を出ようとした。
「あれ、海都君、お出かけ?」
年賀状をめくりながら、店長が俺に視線を向ける。
「はい、姉のとこに。行ってきます」
「行ってらっしゃい」
店長の笑顔に見送られ、俺は走った。
溶けかけた霜を踏みながらアパートへの道のりを急ぐ。
途中、コンビニで美空の好きなモンブランを買った。
一週間ぶりに会う、美空。
俺を見て、どんな顔をするんだろう。
.:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:.