俺はしばらく、ケータイを見つめて固まってしまった。
……美空からだ。
美空からの電話。
クリスマスに別れてから、俺達は一度も顔を合わせていない。
たった一週間だけど、
毎日寝食を共にしていた俺達にとっては、一週間というのはとてつもなく長い時間に感じた。
俺は震える手で、通話ボタンを押した。
「…もしもし?」
しばらく沈黙したあと、柄にもなく気弱そうな声が返ってくる。
「…ぁ…もしもし…海都…?」
美空。
久しぶりに聴く、愛しい人の声。
俺は高ぶる感情を抑えながら、平静を装って話す。
「うん。…どした?」
「あの……明日、元日でしょ…?」
「うん」
「おせち、作ったの。ばーちゃんほどうまくはできなかったけど…。よかったら、明日、食べに来ない…?」
美空は相当緊張しているのか、声が途切れ途切れなうえ、たまに上擦っていた。
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