美空は、1ヶ月くらい前まで、毎晩泣いてた。



隣の部屋だから、泣き声が聞こえるんだ。



美空は一生懸命、声を押し殺して泣いてた。



だから、俺は美空の部屋をノックしなかった。



次の日、腫れた目で朝飯を用意していても、見て見ないフリをした。





美空は、俺の『ねーちゃん』だから。


弟の俺には、弱いとこを見せようとしないから。






だから、俺も気付かないフリをする。



それが、ねーちゃんへの…

…いや、好きな女への、



俺からの

精一杯の優しさ。









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