俺の手の中の箱を見て、嬉しそうな顔をする美空。
「わぁ!開けていい?」
「…うん」
ゆっくりと包みを開けていく。
「あっ、ネックレスだ!」
美空はクロスに埋め込まれた、青い石をじっと見つめている。
「すごい…キレイ。綺麗な青だね。ありがとう!すごく嬉しい!」
美空の満面の笑顔を、俺は直視できなかった。
美空は、箱の中のクロスを指でそっとなぞりながら言った。
「海都のは?これ…ペアなんだよね?」
俺は、ゆっくりと息を吐いた。
「俺の分は…ないよ。…必要ないから。」
冷静に。
冷酷に。
美空が、微塵の期待も未練も残さずに、俺を忘れられるように。
俺は精一杯の嘘をつく。
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