「…新しく家具も揃えなきゃな」



「うん…」



「家電も、買わなきゃな」



「うん…」



「カーテンとか、ラグとかも選ばなきゃな。何色がいい?何色にする?」




「…青がいい…」




青。


美空が好きな、海の色。


俺が好きな、美空の色。





「ねぇ海都…なんで…なんでばーちゃんいないの?なんであたし達…ここにいられないの?どうして…」


美空の目に、絶え間無く涙が溢れては落ちる。



「ねーちゃん!」



俺は見ていられなくて、美空を強く抱きしめた。



「俺が…いるから。俺だけはねーちゃんの側から離れないから!だから…」



…だから、泣くなよ。

美空は、ひとりじゃないから。

ずっと、ずっと、

俺が側にいるから…。





「…かい…とぉ…」






俺と美空は強く抱き合って、

時間が許す限り、この住み慣れた家のぬくもりを身体に焼き付けた――。












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