でも、俺は真っ直ぐアパートに帰らなかった。



早く帰れば帰るほど、

俺達が『恋人同士』でいられる時間が少なくなる。



もう少し。


もう少しだけ。




『俺だけの美空』でいてほしい。










俺は小さな墓地に向かった。



父さんと母さん、そしてじーちゃんとばーちゃんが眠る場所。



お墓の前で手を合わせる。



「俺達、姉弟でこんなことになって…ごめんな」



お墓にも、静かに雪が降り積もる。



「でも、今日で終わりにするから……っ」









俺の目から、とめどなく涙が溢れだした。





父さん…母さん…



じーちゃん…ばーちゃん…








俺に、勇気をください。













.:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:.