でも、俺は真っ直ぐアパートに帰らなかった。
早く帰れば帰るほど、
俺達が『恋人同士』でいられる時間が少なくなる。
もう少し。
もう少しだけ。
『俺だけの美空』でいてほしい。
俺は小さな墓地に向かった。
父さんと母さん、そしてじーちゃんとばーちゃんが眠る場所。
お墓の前で手を合わせる。
「俺達、姉弟でこんなことになって…ごめんな」
お墓にも、静かに雪が降り積もる。
「でも、今日で終わりにするから……っ」
俺の目から、とめどなく涙が溢れだした。
父さん…母さん…
じーちゃん…ばーちゃん…
俺に、勇気をください。
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