バイト中、俺は空ばかり見ていた。
美空。
今日は美しい空じゃなくて、灰色の雪雲。
まるで俺の心のように。
上の空の俺を見て、店長が話しかけてきた。
「海都君、さては今日デートだな?クリスマスにバイトなんかしてて、彼女が怒ってるんだろ!!」
「あ、いや…そういうわけじゃ…」
「今日は雪降ってて寒いし、お客さんも少ないからもうあがっていいよ。早く彼女んとこ行ってあげなよ」
店長は「お疲れ様」と言って、俺の肩にポンッと手を置いた。
時計を見ると、まだ夕方の5時半。
今から帰れば、6時前にはアパートに着く。
「じゃあお言葉に甘えて…お先に失礼します」
店長は笑顔で見送ってくれた。
.:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:.