朝ゆっくり起きてキッチンに向かうと、美空が鼻歌を歌いながら何やら忙しく動いている。
「おはよ。何してんの?」
「あ、海都おはよ!ケーキ焼くから準備してんのっ」
美空が抱えるボウルの中をちらっと見ると、雪のように真っ白なメレンゲが顔を覗かせた。
「海都の好きなチョコケーキにするからね!」
楽しそうにケーキを作る姿を見て、心が痛んだ。
今日の夜には、この笑顔を泣き顔に変えてしまうんだろう。
…でも、早い方がいい。
傷は浅い方が治りやすいから。
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