朝ゆっくり起きてキッチンに向かうと、美空が鼻歌を歌いながら何やら忙しく動いている。



「おはよ。何してんの?」


「あ、海都おはよ!ケーキ焼くから準備してんのっ」



美空が抱えるボウルの中をちらっと見ると、雪のように真っ白なメレンゲが顔を覗かせた。



「海都の好きなチョコケーキにするからね!」



楽しそうにケーキを作る姿を見て、心が痛んだ。



今日の夜には、この笑顔を泣き顔に変えてしまうんだろう。





…でも、早い方がいい。








傷は浅い方が治りやすいから。








.:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:.